SESを辞めたいんですが、この先のキャリアはどうするのがいいですか?
辞めてから後悔しないために、判断軸を持って動くことが大事ですね。感情だけで突き動かされると、次の環境でも同じ悩みを抱えることがあります。
この記事では、SESを辞めたいと感じたときの判断軸と、辞めた後のキャリアパスを解説します。

本記事の専門性
現役フリーランスエンジニアのZettoです。SES+受託開発企業で実務1年半を経験した後、フリーランスエンジニアとして独立しました。友人K君のSES体験談も含め、リアルな情報をもとに解説します。
この記事を読めば、SESを辞めるべきかどうかの判断軸と、辞めた後の具体的なキャリアパスがわかります。
ぜひ参考にしてみてください。
SESを辞めたいと感じる4つの主な理由

「SESを辞めたい」という気持ちは、多くのSESエンジニアが一度は抱えるものですね。
まず、SESを辞めたいと感じる代表的な理由を確認しておきましょう。
- SESではスキルが積めず将来に不安がある
- 評価制度が不透明で給与が上がらない
- 客先と自社の板挟みで居場所がない
- 希望条件を出してもスキル不足で跳ね返される
それぞれ解説します。
SESではスキルが積めず将来に不安がある
SESでスキルが積めないと感じる理由は、構造的なものです。
客先常駐という働き方では、プロジェクト全体ではなく「その一部」を担当するケースが多いですね。
実例:友人K君のケース
設計から実装・テストまで一気通貫で経験できることは少なく、「テスト専任」「監視業務のみ」という状況に置かれることもあります。
古い技術しか触れない環境も問題です。クライアントのシステムが古ければ、そのままレガシー技術を使い続けることになります。
市場で通用するスキルが身につかないまま年齢だけ重なると、転職市場での価値が下がっていくという焦りがでてきます。
友人K君のケースがまさにそれでした。SES企業に新卒で2年間いましたが、「開発をやりたい」という希望があるにもかかわらず、ずっとサーバー監視業務をさせられていたんですよね。スキルがないままでは希望も通らず、気づいたら2年が経っていたという状況です。
スキルが積めない環境にいると感じているなら、それは単なる気の持ちようではなく、構造的な問題です。
評価制度が不透明で給与が上がらない
SESの給与が上がりにくいのも、構造に原因があります。
客先常駐という形態では、あなたの毎日の働きを見ているのは「常駐先のクライアント」です。でも評価して給与を決めるのは「自社」です。この2つがズレているため、頑張りが正しく評価に反映されにくい構造になっています。
さらに、多重下請け(元請け→二次請け→三次請けのような構造)になればなるほど、クライアントから支払われる単価からマージン(中間手数料)が引かれ続け、エンジニアの手元に届く給与は少なくなっていきます。
「何をすれば給与が上がるのか?」という基準が曖昧なまま年数だけ経過するケースも珍しくありません。
モチベーションが下がるのは当然かなと。
給与と評価の透明性が求められますね。不透明な制度では、どんなに頑張っても報われない気持ちになるのは仕方ありません。
客先と自社の板挟みで居場所がない
SESならではのしんどさとして、「自社にも客先にも完全には属せない」という感覚があります。
常駐先では「外の人」として扱われ、重要な情報が共有されないことがある。かといって自社に戻れば、普段の仕事の様子を誰も知らないため会話が噛み合わない。
そんな宙ぶらりんな状態が続くと、居場所のなさを感じてしまいます。
客先での人間関係がうまくいかないとき、自社に相談しても「お客さんに合わせてください」と言われるだけで、精神的に消耗する場面も多いですね。
希望条件を出してもスキル不足で跳ね返される
「もっと開発寄りの案件に行きたい」と営業担当に伝えても、「今のスキルでは難しいですね」と返されるケースもあります。
僕の友人K君が経験したのもまさにこれでした。「開発がしたい」と相談したら「じゃあどんなスキルがあるんですか?」と返され、希望は通らなかったようです。
スキルが不足しているため希望が通らず、しかし現在の案件ではスキルを十分に積むことができない。この循環から抜け出せないまま、時間だけが過ぎていってしまいます。これがSES構造における最大の壁であると言えます。
SESでも良い現場は存在する
SES企業の中にも教育体制が充実している会社はあります。でも、そういった環境に身を置くことは、正直運に左右される要素が大きいですね。
SESを辞めたいと感じる理由の多くは、個人の問題ではなくSESという構造に由来します。まずそこを理解しておくことが大切ですね。
SES構造の循環は個人の努力では抜け出しにくいですね。重要なのは、その環境に身を置くために行動し続けることが大事かなと。
SESを辞めたい時に確認すべき3つの判断軸

「辞めたい」という気持ちはあるけど、衝動的に動くのは危険です。
- 不満の本質を切り分ける自己分析フレーム
- 社内交渉で案件変更を打診してみる
- 辞めずに改善できる余地を探す
順番に確認していきましょう。
不満の本質を切り分ける自己分析フレーム
辞める前に、まず「何が嫌なのか」を整理することが重要です。
不満の原因は大きく2種類に分けられます。
- SES・客先常駐という「働き方」への不満
- 今いる「現場・案件・会社」への不満
この2つを混同すると、判断を誤ることがあります。たとえば「今の案件がきつい」だけなら、案件変更で解決できる可能性があります。でも「客先常駐という働き方が合わない」なら、転職を検討するのが自然ですね。
あなた自身への質問
以下のような問いを自分に投げかけてみてください。
- 今の不満は「この現場」が原因か、「SES全体の構造」が原因か?
- もし理想の案件・現場に移れたとしても、同じ不満を感じそうか?
- 給与・スキル・働き方・人間関係、どれが一番しんどいか?
SESを辞めたいと感じる理由はプロジェクトや現場特有のものもあるため、どこに本質的な問題があるかを見極めることが大切です。
SESを辞めるか続けるかの判断は、感情ではなく「事実の整理」から始めてみることをおすすめします。
エンジニアとして未経験からSESに入った方の転職キャリアについては、以下の記事で詳しく解説しています。

社内交渉で案件変更を打診してみる
自己分析の結果、「今の案件・現場への不満が大きい」と判断できたなら、辞める前に社内交渉を試みる価値はあります。
交渉するときのポイントは、「不満を訴える」ではなく「スキルアップのために動きたい」という前向きな提案として伝えることです。
- 「〇〇の技術を身につけたいので、その案件に入れてほしい」
- 「今の案件でのスキルアップが難しいと感じているため、開発寄りの案件に移れないか相談したい」
このように具体的かつポジティブに伝えると、話が進みやすいですね。
ただし、先述した僕の友人K君の例でも見たように「どんなスキルがあるか?」と返される可能性は高いです。交渉が通るためには、自主的なスキルアップ(資格取得・個人開発・オンライン学習など)を先に進めておくと説得力が上がります。
交渉しても状況が変わらなかった場合は、転職の判断をして良い段階です。
内部交渉で改善が見込めないなら、外部環境を変えるしかありませんね。その判断ができれば、転職活動も前向きに進めやすくなります。
スキル不足を感じている方は、プログラミングスクールを活用するのも手段の一つです。基礎スキルの習得やポートフォリオ作成まで支援してくれるところも多いです。
以下でおすすめのスクールを紹介しているのでぜひチェックしてみてください。

辞めずに改善できる余地を探す
転職は必ずしも唯一の答えではありません。辞める前に確認すべき改善余地もあります。
- 単価連動型の給与制度に変えているSES企業へ移籍する
- 副業・個人開発でスキルと実績を積む
- 資格取得などで社内評価を上げ、案件交渉の材料にする
近年は、クライアントから支払われる単価の一定割合をそのまま給与に還元する「高還元型SES」と呼ばれる会社も増えてきました。透明性が高く、頑張りが給与に直結しやすい仕組みです。
今いる会社の制度が古い場合、同じSESという形態でも環境を変えることで不満が解消されるケースもあります。「辞めたい」という気持ちを整理したうえで、本当に転職が必要なのかを冷静に判断しましょう。
SESを辞めた後のキャリアパスと選び方

SESを辞める決断が固まったなら、次はどこに向かうかが重要です。
- 自社開発企業へ転職する
- 社内SEへキャリアチェンジする
- フリーランスエンジニアとして独立する
- AI時代に通用するキャリア選びのコツ
ひとつずつ見ていきましょう。
自社開発企業へ転職する
自社開発企業とは、自社のプロダクトやサービスを社内で企画・開発・運営している会社のことです。SESのように客先へ常駐するのではなく、自社のチームの一員として開発に関わります。
SESからの転職先として最も人気が高い選択肢の一つですね。
自社開発企業の主なメリットは以下の通りです。
- 企画から開発・リリースまでの一気通貫を経験できる
- ユーザーの反応が直接見えてモチベーションが上がりやすい
- スキルアップしやすく、技術的な成長が収入に直結しやすい
- リモートワーク・フレックス制など働き方が柔軟な会社が多い
注意点として、SESの「多様な案件を経験できる環境」とは異なり、扱う技術が自社サービスに限定されます。
また競争率が高いため、転職活動ではポートフォリオや実績の整理が必須になります。
自社開発への転職を成功させるには、GitHubで公開できる個人開発の実績があると大きな武器になります。
社内SEへキャリアチェンジする
社内SEとは、特定の企業に正社員として入り、その会社の社内システムの設計・開発・運用を担当するエンジニアのことです。
SESからのキャリアチェンジ先として人気が高い理由は、安定性と働きやすさにあります。
- 残業が比較的少なく、ワークライフバランスが取りやすい
- 転職後に収入が安定しやすい
- 一つの会社のシステムを深く理解しながら働ける
一方で、技術的な成長スピードは自社開発企業より緩やかな傾向があります。
「とにかく安定した環境で長く働きたい」という方に向いているキャリアですね。SESでの業務経験(システムの運用・保守・テスト経験)は社内SEの選考でも評価されやすいため、意外とスキルが活きやすい転職先でもあります。
社内SEは安定志向のエンジニアに最適なキャリアですね。SESでの実務経験が直接活かせる点が強みです。
フリーランスエンジニアとして独立する
スキルと実績が十分にある方には、フリーランスという選択肢もあります。
実際に僕は、受託開発+SES企業で実務1年半を積んだ後にフリーランスとして独立しました。フリーランスになった初年度で年収は約450万円、翌年には約600万円まで上がっています。
フリーランスの主なメリットをまとめます。
- 案件・稼働時間・働く場所を自分でコントロールできる
- スキルが収入に直結しやすく、頑張りが報われやすい
- 案件の幅が広がり、多様な経験を積みやすい
ただし、フリーランスは「案件を自分で取る力」と「収入が不安定になるリスクへの備え」が必要です。実務経験が浅いうちに独立するのは、案件が取れないリスクが高くなります。
目安として、実務経験3年以上あればフリーランス転身後のリスクはかなり下がる印象ですね。
僕は1年半で独立しましたが、エージェント(レバテックフリーランス)をうまく活用したことが大きかったです。
フリーランスエンジニアの独立に向けたロードマップについては、以下の記事でまとめています。

AI時代に通用するキャリア選びのコツ
どのキャリアパスを選ぶにせよ、近年はAIを前提にした開発環境が急速に広まっています。
転職・独立の判断をする際に、この視点も持っておくと良いですね。
具体的には、転職先や案件を選ぶときに「AIツールが使える環境かどうか」を確認することをおすすめします。
- GitHub CopilotやChatGPTなどのAIを開発に活用している現場
- AIを活用した開発フローを学べる環境
AIを使いこなせるエンジニアとそうでないエンジニアの差は、これからどんどん広がっていきます。でも、AIに任せきりになると基礎力が育たないという面もあります。
大事なのは「AIを使う前提で、自分の判断力・設計力・読解力を磨く」ことです。AIが出力したコードを正しく理解・修正できる力があってこそ、AI時代のエンジニアとして価値を発揮できます。
SESを辞めた後のキャリアを選ぶ際は、「スキルが積める環境かどうか」「AIを使いこなせる文化があるかどうか」を転職活動の軸に加えてみてください。
AI時代のキャリア選びは、テクノロジーへの適応力が重要になりますね。時代に取り残されない環境を選ぶ判断眼を持つことが大切です。
SESを辞めたい人のよくある質問

よくある質問と回答をまとめました。
- 退職を伝えるベストなタイミングは?
- 引き継ぎと有給消化はどう進める?
- スキルが浅くてもSESを辞めて大丈夫?
ひとつずつ確認していきましょう。
退職を伝えるベストなタイミングは?
退職の意思を伝えるタイミングは、遅くとも辞める1〜2ヶ月前が目安ですね。
SESは客先との契約があるため、退職のタイミングが引き継ぎや契約更新に影響します。
プロジェクトの節目(契約更新のタイミング・フェーズの区切り)で申し出ると、会社側・クライアント側ともに調整がしやすくなります。
なお、退職の意思を伝える相手は「自社の上司」です。常駐先には自社を通して連絡が入るため、直接クライアントに話してしまうと話がこじれることがあります。
順序を守ることが円満退職への近道ですね。
引き継ぎと有給消化はどう進める?
引き継ぎは退職日から逆算して早めに着手するほど、スムーズに進みます。
- 自分が担当している業務・ドキュメントを整理する
- 後任者が困らないよう、口頭だけでなく文書で残す
- 引き継ぎが完了してから退職日を決めると双方が納得しやすい
有給休暇は労働者の権利です。退職日が確定していれば会社は原則として有給取得を断れません。
「有給を使わせてもらえないかも」と不安な方も、権利として主張することで使えるケースがほとんどです。不安な場合は、退職時に書面で申請するとより確実ですね。
有給の消化は労働者の当然の権利ですね。遠慮なく主張できる点を理解しておくことが大切です。
スキルが浅くてもSESを辞めて大丈夫?
スキルが浅い状態での転職は、行き先次第で結果が大きく変わります。
たとえば自社開発企業は競争率が高く、スキルが浅いと選考で苦しくなる可能性があります。一方、別のSES企業や社内SEは、実務経験1〜2年でも選考が通るケースはあります。
スキルが不安なうちに辞める場合は、以下の準備をしてから動くと勝率が上がります。
- 基本情報技術者試験などの資格を取る
- GitHubに個人開発の成果物を公開する
- 転職エージェントに経歴書の書き方を相談する
焦って辞めるより、3〜6ヶ月でもスキルを積んでから転職した方が選択肢は広がります。
ただし、精神的に追い詰められている状況なら無理に続ける必要はないです。状況に応じて判断してみてください。
エンジニア転職の面接対策については、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。

SESを辞めたい気持ちを次の一歩に変えよう

この記事では、SESを辞めたいと感じる理由と、辞める前に確認すべき判断軸、そして辞めた後のキャリアパスを解説しました。
改めて重要なポイントをまとめます。
- SESへの不満は「今の案件への不満」と「SES構造への不満」に切り分けて考える
- 辞める前に社内交渉を一度試みることで、改善できるケースもある
- 辞める決断が固まったら、自社開発・社内SE・フリーランスから自分に合った軸で選ぶ
- AI時代を見据えて、スキルが積める環境かどうかを選択基準に加える
「SESを辞めたい」という気持ちは、現状を変えたいというエネルギーでもあります。その気持ちを衝動的な行動に変えるのではなく、判断軸を持ったキャリアアクションに変えることが大事ですね。
SESを辞めるかどうか迷っているなら、まず「何が不満の原因か」「どんな働き方をしたいか」などを整理するだけで、次のアクションがかなりクリアになりますよ。
この記事で解説した「SESを辞めるための判断軸」が、あなたのキャリアの次の一歩に少しでも役立てば嬉しいです。
フリーランスエンジニアへの転身も選択肢のひとつです。どんな準備が必要かをまとめた記事もあるので、あわせて読んでみてください。
