SESってやめとけって聞くんですが、実際のところどうなんでしょうか?
構造的な問題があるのは事実ですね。ただ「全員やめとけ」ではなく、自分の状況次第で判断が変わりますよ。
この記事では、SESがやめとけと言われる理由と、辞めるべき人・続けていい人の判断基準を解説します。

本記事の専門性
現役エンジニアのZettoです。SES企業からエンジニアとしてキャリアをスタートし、実務1年半でフリーランスに転身した経験があります。
この記事を読めば、SESを続けるべきか辞めるべきかの判断基準と、辞めた後のキャリア選択肢がわかります。
ぜひ参考にしてみてください。
SESはやめとけと言われる5つの理由

SESが「やめとけ」と言われる背景には、業界の構造的な問題がありますね。
- 給料・年収が上がりにくい構造
- 案件ガチャでキャリアが運任せになる
- スキルアップしにくい現場が多い
- 客先常駐ゆえの孤独感と帰属意識の薄さ
- 多重下請けでマージンを抜かれる仕組み
それぞれ解説します。
給料・年収が上がりにくい構造
SESエンジニアの平均年収は、約400万〜450万円程度と言われています。
SESエンジニアの平均年収は約400万〜450万円程度とされており、ITエンジニア職の中ではやや控えめな水準です。SESという働き方はアプリケーションエンジニアやインフラエンジニアといった職種に該当するケースが多く、いずれも下流工程が中心となるため、スキルや実績が給料に反映されにくいという特徴があります。
引用元:レバテックキャリア
これは他のIT職種と比べても低い水準です。年齢を重ねても大きく伸びにくい傾向があります。
SES企業はエンジニアをクライアントに「貸し出す」ことで収益を得るビジネスモデルだからです。エンジニアの単価が上がっても、その利益の大部分は会社の収益になり、給与に反映されにくい構造になっています。
例を挙げるなら、SES企業のマージン率(会社が取る取り分)が35〜40%の場合、残りの60%前後がエンジニアへの還元になるというわけですね。クライアントが月80万円を支払っていても、手元に来るのは48万円程度というのがざっくりとした計算です。
案件ガチャでキャリアが運任せになる
SESの大きな問題の一つが、「どんな案件に入るか自分で選べない」ことです。
会社の営業担当が案件を決めるため、エンジニア側がどれだけ希望を出しても、最終的にはクライアントの需要と空き状況で決まります。
これをエンジニアの間では「案件ガチャ」と呼びます。運よく成長できる案件に入れれば伸びますが、スキルと無関係な業務を何年も続けることになるケースも珍しくありません。
僕の友人K君はSES企業に入社して「開発がやりたい」と希望していたにもかかわらず、2年間ずっとサーバー監視業務でした。営業に相談したら「じゃあどんなスキルがあるんですか?」と返されて終わりとのこと。
「開発したい→開発経験が積めない→スキルがないので開発案件になかなか入れない」
この矛盾した構造がSESの厳しい現実です。
スキルアップしにくい現場が多い
SESの案件は、テスト・保守運用・監視業務の割合が多い傾向があります。
これらの業務自体は必要なものですが、市場価値につながる開発スキルが積みにくいのが問題です。特に未経験から転職してきた人が、入社後もずっと単純作業をこなすだけの状態になることは珍しくありません。
しかも客先常駐のため、困っても周囲に相談できるSES社内の先輩がいません。孤立した環境でスキルが伸びない状態が続くと、数年経っても「転職できるスキルが何もない」という状態になりかねません。
SES企業に入社する前にキャリアパスを確認しておくことが大切です。以下の記事では未経験エンジニアがSESを超えていくための考え方を解説しています。参考にしてみてください。

客先常駐ゆえの孤独感と帰属意識の薄さ
SESで働くということは、自社ではなくクライアントの職場に毎日通うことを意味します。
クライアント先では「外部の人間」扱いされることが多く、会議に呼ばれない・社内情報が共有されない・交流の輪に入りにくいというケースが頻繁に起きます。
一方で自社に帰っても、日々クライアント先にいるため同僚との接点が少ない。結果として「自社にも帰属感がなく、客先でも完全に馴染めない」という宙ぶらりんな状態になりやすいです。
帰属意識が薄いとモチベーション維持も難しくなり、仕事のやりがいを感じにくくなる点もSESが「やめとけ」と言われる理由の一つです。
多重下請けでマージンを抜かれる仕組み
IT業界には元請け・1次請け・2次請け・3次請けと続く多重下請け構造が存在します。
案件が下流へ流れるたびに中間企業のマージンが差し引かれるため、実際にエンジニアが所属する企業へ支払われる単価は低くなる傾向があります。
エンドクライアントが月100万円で発注した案件でも、3次請け以降では40~60万円程度まで下がるケースもあります。
この構造の中で働き続けると、スキルが上がって市場価値が高まっても、会社に搾取されたまま年収が伸び悩む状態になりかねません。
フリーランスとして独立してこの構造を抜け出すと、同じスキルでも収入が一気に変わることがあります。SESからフリーランスに転身して年収が倍以上になった事例も、決して珍しくないです。
SESの「やめとけ」と言われる理由は、感情論ではなく業界構造の話なんですよね。給料が上がりにくい・キャリアが運任せ・スキルが積みにくいという3点が特に根が深いと感じています。
SESを今すぐやめるべき人の特徴

すべてのSESエンジニアが辞めるべきかというと、そうではありません。
- 1年以上単純作業しか任されていない人
- 営業に希望を伝えても案件が変わらない人
- スキルアップ環境がない現場にいる人
- 逆にSESを続けてもよい人の特徴
それぞれ解説します。
1年以上単純作業しか任されていない人
入社から1年以上が経過しても、単純作業しかやっていない状態は危険サインです。
エンジニアとして市場価値を高めるためには、要件定義・設計・開発といった上流工程や製造工程への関与が不可欠です。テストや保守運用だけを2年以上続けると、転職市場で「経験年数はあるがスキルがない」という評価になりかねません。
特に20代のうちは、時間の使い方がキャリアを決めます。1年後の自分のスキルが今より明確に伸びている実感がないなら、現場の変更か転職を考える時期です。
営業に希望を伝えても案件が変わらない人
「開発案件に入りたい」「スキルアップできる現場にしてほしい」と営業に伝えても、何も変わらないまま時間が過ぎているなら、その会社では状況が改善しない可能性が高いです。
SES企業の営業は、エンジニアのキャリアよりも「空きを埋める」ことを優先することがあります。エンジニアの希望より、クライアントの需要に合わせて人を当てはめる発想です。お願いして動きがないなら、会社を変える選択が有効です。
SES企業の営業全員がそうとは言いませんが、エンジニアのキャリアより案件充足率を優先する構造になっているのは事実だと思います。動いてくれる担当者かどうかを早めに見極めることが大切ですね。
スキルアップ環境がない現場にいる人
現場でスキルアップできる機会がないなら、業務外の自己学習で補うことが重要です。
ただ、業務時間中に何も成長できず、帰宅後に体力を削って勉強し続けるのは長続きしにくいです。現場でのOJT(仕事を通じた学習)があってこそ、自己学習も生きてきます。
業務外でスキルアップしようとしても、現場でアウトプットする機会がないとスキルが定着しにくいです。「業務で触れられないスキルを独学で補い続ける状態」が1年以上続いているなら、環境ごと変えることを検討してもいいかなと。
逆にSESを続けてもよい人の特徴
一方で、SESが合っている人もいます。
以下に当てはまる場合は、今すぐやめる必要はないと感じます。
- 現在の案件でスキルが明確に伸びている
- 担当営業が積極的に案件のマッチングを考えてくれる
- 未経験から実務経験を積む段階で、まだ1年未満
- 多様な現場・業界を経験できており、それを楽しめている
特に未経験からエンジニアになったばかりの段階では、SESが実務経験を積む最初の足がかりになることがあります。問題は「SES自体」ではなく、「成長できない環境に居続けること」です。
「SES=悪」とは思っていません。僕自身もSES企業からエンジニアキャリアをスタートしました。問題は環境がスキルアップに向いているかどうかで、そこを見極めることが大事だと感じています。
未経験からエンジニアへの転職でどんな企業を選ぶべきかは、以下の記事で詳しくまとめています。

SESを辞めた後のキャリア選択肢と年収のリアル

SESを辞めた後の選択肢は、大きく分けて3つあります。
- 自社開発企業への転職ルート
- フリーランスエンジニアへの転身ルート
- AI時代に選ぶべき現場の条件
それぞれのルートを具体的に見ていきます。
自社開発企業への転職ルート
SESを辞めた後のキャリアで最も多い選択肢が、自社開発企業への転職です。
自社のサービスやプロダクトを開発するため、コードの質・設計・ユーザー体験まで一貫して関わることができます。スキルが直接プロダクトの成長に結びつくため、やりがいを感じやすいです。
年収面でも、SESから自社開発に転職することで50万〜100万円のアップになるケースが多い傾向があります。ただし未経験に近い状態では転職が難しいため、SESで実務経験を積んだ上で転職するのが現実的なルートです。
転職を成功させるためには、ポートフォリオと職務経歴書の作り込みが鍵になります。エンジニアの転職準備については以下の記事で解説しています。

フリーランスエンジニアへの転身ルート
スキルに自信がついてきたなら、フリーランス転身も有力な選択肢です。
フリーランスになると多重下請け構造から抜け出せるため、同じスキルでも収入が大きく変わることがあります。SES時代に月単価30万円だった人が、フリーランス転身後に月単価50〜60万円になるケースも珍しくありません。
僕自身、実務1年半でフリーランスに転身して月単価50万円でスタートしました。当時の会社員時代の年収が約280万円だったことを考えると、収入面での変化は大きかったです。
ただしフリーランスは案件の自己確保・税金管理・スキルの自己投資など、会社員にはない責任が伴います。最低でも実務経験2〜3年とある程度の貯金があってから検討するのが現実的です。
フリーランスエンジニアへの転身に必要な経験年数については、以下の記事で詳しく解説しています。

AI時代に選ぶべき現場の条件
近年、AIツールを活用した開発が急速に広まっています。
GitHub CopilotやChatGPTを業務で使える環境かどうかが、スキルアップの速度に大きく影響する時代になってきました。SESを辞めて次の現場を選ぶ際には、「AIツールが使えるか」を確認することをおすすめします。
AIを使いこなせるエンジニアとそうでないエンジニアの差は、今後さらに広がっていく可能性があります。現場のモダンさを見極めるのも、転職先選びの重要な視点です。
在籍中に市場価値を上げる行動リスト
SESを辞める前に、在籍中から市場価値を上げておくことが大切です。
転職やフリーランス転身の成功率を高めるために、今日から動ける行動をリストアップします。
- 資格を取る:Java Silver・基本情報技術者・AWS認定など、職種に合った資格を取得する
- 個人開発をする:業務で触れられないスキルを個人開発で補い、GitHubに公開する
- 職務経歴書を磨く:担当業務・使用技術・工夫した点を具体的に書き直す
- フリーランスエージェントに相談する:在籍中に市場での自分の価値をエージェントに確認しておく
SESを辞めた後どうするかは、辞める前から考えておくのが大事です。転職先・フリーランス転身どちらの場合も、準備をしているかどうかで結果が大きく変わります。辞めてから動き始めるのは遅いです。
フリーランス転身を考えるなら、まずエージェントへの相談が一歩目になります。以下記事では、おすすめのフリーランスエージェントをご紹介しているので、参考にしてみてください。

SES「やめとけ」に関するよくある質問

よくある質問と回答をまとめました。
- SESは何年目で辞めるべきですか?
- 未経験でもSESはやめとけと言われますか?
- 優良SES企業の見分け方はありますか?
SESは何年目で辞めるべきですか?
キャリア形成という意味では、3年を一つの目安として考えるといいかなと。
3年で実務経験を積んでいれば、自社開発企業への転職市場でも戦いやすくなります。逆に3年経ってもスキルが伸びている実感がない・業務内容が変わらないなら、1〜2年目でも早期に動く判断が必要です。
ただし「何年目か」よりも「今の環境でスキルが伸びているか」のほうが重要な判断軸です。年数だけで機械的に決めず、自分の成長実感を基準にしてください。
未経験でもSESはやめとけと言われますか?
未経験からエンジニアを目指す場合、SESが最初の選択肢になることは多いです。
理由は、未経験可の求人がSES企業に集中しているから。ただし企業選びは慎重にする必要があります。教育体制があるか・最初からどんな業務を担当するか・キャリアパスが明示されているかを事前に確認してください。
「とりあえずSES」ではなく「教育体制が整ったSES」を選ぶことが、未経験者の成功パターンに多い傾向があります。
未経験の段階ではSES企業を完全に避けるのは難しい側面もあります。重要なのは企業選びのポイントを押さえておくこと。会社名より教育制度とキャリアパスを先に見てほしいですね。
優良SES企業の見分け方はありますか?
以下のポイントを面接・説明会で確認することをおすすめします。
- 常駐先のクライアント企業を具体的に教えてもらえるか
- 希望する技術・業務内容を担当できる実績があるか
- マージン率(還元率)を公開しているか
- 入社後のキャリアパス・案件変更の実績がある
透明性の高い会社は、単価・マージン率・配属先を事前に開示してくれます。「任せてください」「頑張ります」だけで具体的な数字を見せない会社は要注意です。
SES「やめとけ」の判断は自分の状況で決める

SESが「やめとけ」と言われる理由は、この記事で解説してきた通りです。
重要なポイントを整理します。
- SESの構造的な問題:多重下請け・案件ガチャ・スキルが積みにくい現場
- 辞めるべきサイン:1年以上スキルが伸びない・営業に何度頼んでも変わらない
- 辞めた後の選択肢:自社開発転職 or フリーランス転身
- 辞める前にやること:資格取得・個人開発・職務経歴書の磨き込み
「SES=やめとけ」と一律に断言はできません。成長できる環境にいるなら続けていいし、1〜2年経っても現場が変わらないならすぐ動くべきです。
判断の軸は「今の環境でスキルが伸びているか」です。
最後に大事なのは行動です。「今の環境でスキルが伸びているか」を見極めて、判断してくださいね。
SES以外のキャリアルートを本気で検討したい方は、フリーランスエンジニアへの転身ルートを解説した以下の記事もあわせて読んでみてください。
